けろよんの安心


2月の「けろよんの安心」からあっという間に二ヶ月がたち、
また二回めの安心がやってきました!
今日です。


前回の「けろよんの安心」のこと、
忙しさにかまけてここにはまだ書けずに居たのだけど、
本当に素敵な夜だったです。
満員といえるほどのたくさんのお客様が集まってくれて、
五組のライヴ、すごく濃い一夜だったです。


無善寺で出逢ううたっていうのはやっぱりちょっと
うたい方や佇まい、言葉、みんな特徴があるきがしていて。
器用でないというか、みんなすごくぎりぎりまで
個人個人で、自分であり続けたい故に人と混ざりあえない
自分の弱さに溺れてきた人特有の寂しさと美しさ、
同時に、甘え、苦しさ、子供っぽさ、みたいなものを感じて、
それはある頃自分が持ってたものと同じもので
(今も持っているけど特に過去に)
その頃の自分を直視するようでいつも複雑な気持ちになる。
自分が忘れようとしていたものをたくさん想い出させられる。


もちろん無善寺で出会うみんながみんなそういう感じではないし
むしろ誰もそういう感じではないのかもしれない
私が勝手に過去の自分を映して見ているだけなのかもしれない
無善寺という場所の持つ力がうたをそう聴こえさせるのかもしれない
全然上手く言えてない。


10年前の自分は本当に身勝手で自己愛や思い込みが強くて
色んなことが許せなくて優しさのかけらもなかったように想います。
とにかくいきあたりばったりでめちゃくちゃだった。
今想いだすととても恥ずかしさや反省すべきことばかりです。
でも若いときはそれでよかったのかもしれないとおもうのです。
最初から他人の期待に応えることが出来自分を押さえることが出来
外側のことをなにもかもきちんとうまく把握し社交性溢れる人だったなら
きっとうたをうたう必要なんてなかったんじゃないかな。
一概には言えないかもしれないですが。



うたい始めて10年が経ち、
最初の頃にくらべて私は随分要領よく自分を抑えることが出来、
外側のことをわりと把握出来るようになり、
社交性も少しは身に付いてきたような気がします。
もしかしたら取り繕ったりごまかすのが上手くなっただけかもしれない
だけど今の方がよほど優しくなったと自分で想います。


でも美しくなくなった、っていう想いはどこかにあって、
身勝手で自己愛と思い込みが強くて妥協する優しさをしらない人間の
なにかどこまでも尖った美しさみたいなものがあることも私は知っていて
わたしは普通になったなぁ、ってよく想う。
いろんなことを把握した分、鈍くなったなぁって。


でもずっとそのままだったらやっぱり生きていけなかったな、って
今おもってもやっぱりおもうのです。


自分より年下の歌を歌う人たちが増えてきて、
若い人たちを見ていると、とっても綺麗だな、って
見とれてしまう。
まだいろんなことがわからないからこその尖った光。
人はずっとそのままではいられないのだけど
その美しさはどんなに時代が変わってもきっと変わらない。
私はそこから今片足はでてしまっているけれど
そういう若い人たちの光を見ることが出来る人間でありたい。


忘れてしまいそうになっても
おもいだしたくなくても、
ふと想いだす残像。
それは忘れてはいけないものだと想う
あの頃の気持ちをわすれてしまうことはないよ。


その夜の皆のライヴはひとつひとつ色んなこと感じさせてくれた。
表谷さん、えくれるし、セイシカラス、ツージーズ、乃田吊さん、
私はなんだかとても嬉しくて、ずっと見ていたいような、
もうこのまま見てるだけでいいような気分だったのだけど、
最後に自分の出番を頂いて、ライヴさせてもらいました。


なんだかその日は用意していた歌を歌うだけでは足りなくて、
皆のライヴを見て感じた想いをなんとかその日のライヴに現したくて
その場で即興でおもいつくままにうたをうたいました。
それが最近新曲としてうたっている「手を伸ばす」という曲で、
いま一番うたいたい、今の自分の心に近いうたです。


その日の来ていてくれて感想をくれた人はやっぱり、
「てをのばす」って歌っていた曲がよかった、
って何人か言ってくれて、
やっぱりそうだよね、今のきもちそのままだもんな、って
わかるんだなぁ、っておもって、嬉しかった。


わたしはその場でうたい放って、録音もしてなかったので
もうあとからその曲を漠然としか想いだすことが出来なくて、
もううたえないかな、と想いながら、あきらめきれず、
もう一度うたいたい、なんとか想いだせないかな、と想っていたら、
あるいつも来てくれているお客様が録ってくれていて、
録音物を頂けたので、それを聴き直してまたうたうことが出来ています。
その場でうたった歌詞と、メロディー、一寸も変えることなく、
今、自分の曲としてうたっています。不思議。 


ほんとは全部毎回即興でうたえたら一番いいな、
でもでてくるときは勝手にでてくるものだから
つくろうとおもっていくと多分そんなに上手く出来ないきがする。


ライヴの後、乃田吊さんと、
やっぱり始めてよかったね、って言い合いました。
うん、始めて良かったな。
乃田吊さん、無善法師、ありがとう。


今日は大分からわざわざこの日の為にライヴをしに
乃田吊さんや私のCDを聴いていた若い方がやってくるそうです。
にしやまひろかずさん。
凄いよね、そういうのっていいね。


今日はあたたかい。
ライヴまで、ゆっくり散歩でもしようと思います。
ではあとで、無善寺で逢いましょう。


***


2013年4月22日
穂高亜希子&乃田吊定例ライブ「けろよんの安心」
@高円寺無力無善寺
にしやまひろかず、このみぃる、曇ヶ原、山口史章、乃田吊、穂高亜希子
1ドリンク付1000円 18:30 OPEN/19:00 START