「ひかるゆめ」コメントです


このアルバムを作るまでの穂高さんの葛藤や迷い、長い長い自分との闘い、その一部分だけとは言え知っていて、共に道を歩みもした友人の一人としては、このアルバムの存在が本当に奇跡的な事だと思います。

ここにあるのは心の奥深くまで流れていく、厳しい優しさを持った歌(自分の心の底なんて見たくないという人は聴かない方が良いです。でもそういう人はそもそも音楽なんて聴かなくていいとも思います。)。僕の母方の実家の長崎の、心と体がまるごと包み込まれるような海を思い出します。(穂高さんが九州出身と知った時、何故この人から長崎のあの熱を感じるのか分かって少し感動しました。)

幼なじみの友達がかつて遠い昔に聴かせてくれた歌が時空を越えてやってきたような気がしてしまう。

ライブでの穂高さんには時にどこか通り魔のような危うさがあって、そこにも僕は強く惹かれていたのですが、このアルバムからはそういう闘いをずっと経てきたからこそ辿り着いた安らかさのような物を感じました。

でも生きている限り、自分や世界との闘いも、また許しも続いていく物だと思います。このアルバムは、ひとりになる事、そこから初めて世界を見つめる事、という一番大切な事を思い出させてくれます。



                   冷牟田敬(paradise)