コンサートの夜


利光雅之さんの夜、無事終了しました。
この夜も、やっぱりとても素敵な夜になりました。


利光君一時間半ほど、休憩なしで、
たくさんの曲をうたってくれました。
みんな、静かに、じっと、
利光君の音楽を聴き入っていました。


利光君のうたは、
遠くに瞬く何かの光のようでした。
ただの街灯かもしれないし、
もしかしたらだれかがこちらに向けて合図を送っているのかもしれない
そんなふうにゆっくり静かに瞬いていました。


静かに、深く、揺れる。
みんながひとりひとりになって。
お互いの存在を忘れて、
暗闇の中にいました。
そして
それぞれの場所から、
同じ光を眺めていました。


利光君はエムシーをほとんどしません、
普段も言葉をほとんど話しません。
だけど潮騒のように音をたくさんもっています。
きっと言葉を持たないことでしかいけない場所がある。
深く静かでいつも変わらない場所
始まりとと終わりがまるで同じであるかのように
利光君の音楽は、最初から最後まで一定に、
静かで、深くて、優しかった。


こんな音楽が現代にあることが、
ほんとうに救われる。




そして自分ごとだけど、
東京に出てきて一番最初に利光君と出会って、
あの濃密な数年間、
ふたりで一緒に音楽をやれたことは奇跡だったと思いました。
昨日もこころでずっと一緒にうたっていました。
一生わたしの中から利光君の曲は離れていかないんだと思いました。
もしまた一緒に音楽がやれたら、
もう自分の欲しいものは何もないと思って、
昨日また誘ったけれど、断られました。笑


もしかしたら、あの日々は夢だったのかもしれないな。


ライブのあと、友達が泣いていた。
綺麗な涙でした。



利光君、
一緒にうたを聴いたお客様、
素晴らしい夜を、
ほんとうにありがとうございました。


最後に利光君の曲の歌詞を2曲載せます。
  


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■無名のうた
作詞作曲:利光雅之


どこから湧いたの僕たち
息のように 風のように
のりを忘れて ぽっかりと口はあいたまま
おしゃべりをやめて やめてよ
白濁の風がほら吹いてるよ


《誰でもない誰かの通過する街路》


無国籍の小鳥たち 自由に発酵する空を
泡のような僕の名は やがては空気のように
GAIJINになるのきみの 言葉を閉じてそとにほつれた


《誰でもない誰かの沈殿する荒野》





■ねずみのうた
作詞作曲:利光雅之


きみはとてもとても速いから
世界はおいてきぼりなの
届かない空なぞるように 残像を追いかけて


僕を見つめないのか 僕と話さないのか あーあ


時の時の時の縫い目に高速でかじりつく
ほどかれた時空の狭間でいつまでも回ってる るるる


行く場所はないのか 行く気もないのか あーあ


きみのきみのきみの魂は真っ白い時の中
哀しくも楽しくもないさ 今日も荒野を駆け抜ける ねずみ








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