一年ののち

『ひかるゆめ』を出して、一年以上がたち、
この一年のあいだ、いろんなことがありました。


色んなことが変わって、色んな気持ちに襲われました。
それまで気をつけてきたこと自分の中で、
危険だと想っていたことにも
まんまとひっかかりました。
「なくさないように こころをたしかめる
 見失わぬように 息をととのえる」
そんなことができなくなっていきそうなきがしました。


たくさんの方の心遣いのおかげで、
音楽を始める前から憧れていたような音楽家の方たちと
競演させていただく機会も何度もいただき、
ツィッターも知らない方たちにたくさんフォロー頂いたり、
凄く、自分の歌を多くのひとに快く受け止めて
聴いていただいている感じがありました。


しかし、自分は何故だか自分に自信がなくなっていくいっぽうで、
なにか嘘をついているような気がしたり、
ひとに媚びているような気がしたり、
自分が駄目になっていくような気がしていったり、
それに気づいたひとが自分にがっかりして離れていく気がしたり、
歌をもうやすもうかな、とおもったりの繰り返しでした。


一年経って、やっと振り返れる余裕が出てきました。


久しぶりにとうみんにっきを軽く振り返っていたときに、
『ひかるゆめ』の為にもらったコメントに目が止まりました。
今になって、みなさんの言ってくれたことが心から入って来るのです。
あのときは、自分の歌を評していただくことが連続しすぎて、
どこか心が麻痺していたのかもしれません。


皆さんの言葉を読むことで、
逆にああ、私はうたにこんなふうに向き合おうとしていたのだったか、
と、そんな気持ちにさせられ、はっとなりました。


最近NHKオンデマンドの見放題パックというのに登録して、
「プロフェッショナル」って番組をなんとなく見ていて、
そこで最後の、プロフェッショナルって何だと想いますか?って質問に、
将棋の羽生さんは「努力を継続していくこと」
漫画家の井上雄彦さんは「向上していこうとする人」と言っていました。
そのひとたちのドキュメントされた日常を見たりして、
なんてゆうか、皆さんとても地味で、
本当に普段は全然光の中に居なくて・・・
その姿を見ていて、その人たちの発する言葉を聞いていて、
とても思うところあったりしました。


「ひかるゆめ」を出すまでの8年ほど、
その日々はとても人に毎日報告出来るような日々ではありませんでした。
苦しんだりもがいたり、極端な禁欲主義に走ったり・・。
いつも自分の歌を聴きにきたお客さまは誰もいなくても
どこかの誰かに向かって歌い続けました。
だけどその中でたくさんの曲が生まれ、自分のうたを模索しました。


だから、「ひかるゆめ」が出たときに、
人に認められたような言葉を沢山いただいて、
ああ、もう楽になっていいんだ、と
自分の旅路が終わったようなきがどこかしたのだと思います。


ずっと、この世界の割れ目のようなところに住んでいて、
そこから見える光を歌ってきた自分が、
割れ目から這い上がって、皆と同じ地平に住み始めたとき、
もう歌を歌う必要がなくなるような気がするのは、
とても普通のことのような気がします。


だけど、もし、まだうたがうたいたいなら
今の私の歌をうたわなきゃいけない、
また新しい闘いが始まっているんだと思う。


そのことから目を伏せて、変わっていく自分に失望して、
ずるずると名前ばかりを歩かせて、歌っていても仕方ない。


ヒヤムタさんのコメントも、木村さんのコメントも、
はっきりと私に言ってた。
これで終わりじゃないよ、って。
そのときはわかったような気がしていたけど、
今になってよくわかる。
二人とも私の性格を良く知っているから、
皆にコメントするようで、私に優しく忠告していたのだと想う。


これは目標なのだけど、
再来年の春に、またアルバムを出したいと思っています。
古い曲と合わせたら今すぐにでもアルバムつくれる位は曲があるけれど、
「ひかるゆめ」の続きじゃなくて、
次の自分ができることを探していくことがしたいと想います。


来年は一年間、それに向かって色々模索していこうと思っています。
どうか、待っていてください。