ラジオ、大友良英さん、そして「blue」


先日の関西でのツアーが終わった次の日、
京都のKBSラジオ・大友良英さんの「JAMJAMラジオ」に
招いていただきました。


ラジオなんか出たこともなく、
しかも喋ることがほんとうに不得意な自分が、
大友良英さんに呼んでいただけるなんて、ハードルが高すぎて笑、
ほんとうに緊張しました。


でも大友さんは本当に本当に優しくて、
ほんとうに大きな人でした。
先日たまたま見た田口ランディさんのブログ
(勝手に引用してごめんなさい。)
「私は杉本さんと緒方さんには、人間としての覚悟のくくり方というのか、もうまったく、お会いしていると自分がぺらぺらのうすっぺらい、幽霊のようにすら感じてしまい、会うたびに恥ずかしくおこがましく、情けなく、、身が縮むような思いだった。それでも、お二人はとてもよくしてくださった。」
という文章があったのですが、
あっこれは、こないだの私の気持ち・・と、思いました。
わたしもまさに、まさに、大友さんと出会ったことは、
その表現そのまま、そういう感じで、
ほんとうに、大友さんの人間性に、
打ちのめされ、励まされ、衝撃を受けました。
関東に帰ってきてしばらく熱に浮かされたようでした。
(実際ラジオ局からの帰路で、あまりにぼーっとしていてラジオがある駅のロッカーに荷物をいれたまま京都駅に行って、新幹線に手ぶらで乗ろうとして、直前に気づき、帰りの新幹線に乗り遅れました笑)


わたしの家には大友さんのCDが3枚あって、
ひとつは大友良英ニュージャズアンサンブル/「dreams」、
phewさんと戸川純さんがうたっている大好きなCD。
もうひとつは『映画「カナリア」soundtruck』
浜田真理子さんがうたっているこれもとっても大切な1枚。
そしてもうひとつが「blue」soundtruckです。


この3枚は吸い寄せられるように自分の手元にあって、
ここ何年も何百回聴いたかわからないくらい聴きました。
わたしは音楽に対してあまり積極的に新しいものを聴く方ではないので、
気に入ったら何度でも何度も何度も同じものばかり聴くのだけど
とにかくこの3枚はほんとうにほんとうに好きで、
何度も何度も聴いてきたのです。


そのなかでもとくに、「blue」は自分にとってほんとうにほんとうに
特別な一枚で、大げさじゃなくこのCDと離れては生きてゆけないくらい、
自分のからだの一部のような音楽なんです。
たくさんの日々の、暮らしの中で、流し続けてきた音楽、
これを聴きさえすれば、気持ちがすーっと軽くなる、
そんなじぶんにとってお守りのような音楽。


わたしは先に音楽を聴いて、音楽に惚れて、映画「blue」を見ました。
そしたら映画の方も、ほんとうに自分にすーっと入ってきて、
なにかその物語世界や空気感、主人公たちの心情、すべてが、
その頃の自分の心ととっても響き合い、重なるものがあって、
ほんとうに、こころから、心酔し、大好きで、何度も何度も見ました。
実はサントラ、DVD、写真集、と、持っています。
友達がいちばん知っているとおもいます。
みんなにいいよいいよって言い続けてきたから・・・・
そうそう、この映画を好きになって以来、
いまの日本映画も大好きになって、たくさん見るようになったなぁ。


はじめて「日曜日のうた」を吉祥寺のgok soundで、録音したとき、
終わって数日後、また「blue」のサントラを聴きながら
なんとなくクレジットを見ていたら、
gok soundの近藤さんの名前が書いてあって、
自分の大好きなCDを録ったところで、そして同じエンジニアさんで、
自分も自分のうたを録ることができたのだ・・・・と
びっくりして本当に嬉しかった。



それだけでもほんとうに心から嬉しかったというのに、
そんな大好きなblueをつくった大友さんと、
お会いして、blueの話もできました。
夢みたいでした。ほんとうに。
(あの澄み切った笛の音が空にどこまでも伸びてゆくあの感じは、
大友さんの、友を想う、天に伸びる音だったのだな・・・。)


そして大友さんの、ほんとうにほんとうに大きな人柄に
わたしは圧倒されて、とっても感銘を受けました。


自分が参加した録音のあとに、
他の日に流す録音も聴かせていただいていたのだけど、
チェルノブイリに行ったときのおはなし、福島のおはなし、
とても冷静に話していらっしゃって、
そのとき、ほんとうに当たり前のことを当たり前に、
ほんとうにしっかりと発言されていて、
それは福島の農産物の風評被害をなくすためには、
食べ物をとにかくちゃんと測ってくださいということ。
(簡略化しすぎなので詳しくはpodcastで是非聴いてください)
そんな当たり前のことだけど、今は友達同士でなら話せても、
公の場ではなかなか大きな声で言えない雰囲気があります。
そんな中、ラジオではっきりと言うのは、ほんとうに
ほんとうに勇気がいるし、とても個人としては
疲れることではないかと思うのです。


だけど本当にみんながその言葉を、こころの奥で
ずっとずっと望んでいるその言葉を、
きちんと外に出すその正しさ・・・・
物事の正しさをきちんと見て、
冷静に判断しようとする姿勢のようなものを、
大友さんと居る間中ずっと感じていました。


それは、わたしのわけわからなくなっている話を
すーっといい方向に導いてくれたり、
わたしの重さやナイーブさを気づきながらも、
自然にできるだけ明るい方へ明るい方へ持っていこうとしてくれる
なにか眼に見えない気遣いや優しさのようなものを、
終始大友さんが自分に対して持っていてくれることに、
申し訳なくなりながらも、
こころから安心して委ねられるなにか不思議な信頼感を
わたしが感じたことに共通する、
大友さんの人柄なのだと思います。


だからたくさんの映画音楽を、
大友さんが映画の方から信頼され依頼され、
そしてほんとうに作品としてもサントラとしても
素晴らしい作品を作る大友さんのその創作の秘密が、
少し見えたような、すごく納得できた気がしました。


ラジオでお母様の話が出たとき思わず心の中で
こんな立派な息子さんさぞかしご自慢の息子でしょう・・・
と想っちゃったもの笑


だから大友さんに会えて、その人柄の素晴らしさに、
すごくすごく、ほんとうに、感激したのです。
(それに比べて自分の子供ぶりにも嫌気がさしたけれど!笑)


あのね、実はわたし市川実日子さんにも、1度会ったのです。笑
自分が働いている喫茶店に来てくれたことがあって、少し話して
嬉しくて、宝物の青いボタンをさしあげた。もう5年前。
「blue」は自分にとって、お守りのようななにか不思議な存在。
また、大友さんに会えて、更にその想いが強くなった。
「blue」が好きだという想いが、会わせてくれたような気がする。
このCDは、一生、宝物になるだろう。


ラジオは、もうほんとに自分の喋りがつたなくて
低い声でぼそぼそと聴きとりにくいですが
今日から数週間、ネットでお聴きいただけます。
大友良英のJAMJAMラジオpodcast
再生する、というところをクリックすると聴けます。


それから、podcastでは、著作権の関係で音楽を流せないそうです。
だからすべての曲の部分が省略されています、あしからず。
放送の最後に、生歌をうたっているのですが、
それもpodcastでは聴くことができません。
もしよければ、11月22日21時に、radikoラジオ福島を選局していただければ、聴くことができるそうです。
是非是非、完全版も、聴いてください。


そして、podcastでは、前回の放送(先ほど書いたチェルノブイリのことを話している録音)も、聴けます。
よかったら是非聴いてみてくださいね。
とてもとてもみんなに聴いてほしいと思います。
それから来週のゲストはFMNの石橋さんです。
この日もとても面白いです、是非とも。


一生に一回かもしれない(笑)本当にいい経験をさせてもらえました。
呼んでくださった大友良英さん、KBSラジオさん、FMN石橋さんにこころから感謝。
そして聴いてくださった皆様にもありがとう。


2011年10月31日、嬉しかった日。
サイン頂きました。
「blue」cd,dvd,写真集。
今、この本を読んでいます。
(大友さんは、発言するだけでなく、行動、projectFUKUSHIMA!という
それ以上にもっと気力や体力が要ることをやっています)


11月19日5時23分、今日は寝ないで、仙台に行きます。
いってきます。