まほうのことば

『ずっと、ずっと大昔
 人と動物がともにこの世界に住んでいたとき
 なりたいと思えば人が動物になれたし動物が人にもなれた
 だから時には人だったり、時には動物だったり、
 互いに区別はなかったのだ
 そしてみんながおなじことばをしゃべっていた
 その時ことばは、みな魔法のことばで人の頭は不思議な力をもっていた
 ぐうぜん口をついて出たことばが不思議な結果をおこすことがあった
 ことばは急に生命をもちだし
 人が望んだことがほんとにおこった
 したいことを、ただ口に出して言えばよかった
 なぜそんなことができたのか、だれにも説明できなかった 
 世界はただ、そういうふうになっていたのだ』



これは、アラスカに魅せられ、アラスカに生きた写真家、
星野道夫さんが好きな、エスキモーの詩です


***


家は天国です。
ひとりでぼーっと好きな音楽を聴いて
いろんなことに想いを馳せているときは至福のときです


そしてそういうときも自分は言葉とずっと共にいる。
音楽をかけてその詩をじーっと聴いたりなにかしながら聴いたり
それから音楽を聴きながら同時にいろんな言葉と交遊したりする
それは本のなかのびびっときた一節だったり
大切な人からのメールから綴られた大事な言葉だったり
先日誰かと話した言葉の残像であったり
自分のノートにつらつらと書き連ねる言葉であったり
ツィッターのだれだれボットってやつだったり
言葉と自分だけの濃厚な時間。


言葉を、うまく使えないことがずっとコンプレックスです。
これでもだいぶ、ここ最近よく話すようになったけれど
それでもまだ全然だめで、人と大切な話を話してるとき
あとちょっと言わないといけないところを最後のとこで言えてない
あとから足りなかった言葉に細かいところまで後悔する。
これが自分のくよくよの半分ほどを占めている。
先日のラジオでの自分の発言にも、自分のあまりの馬鹿さ、
言葉の使えなさを痛感してかなりダメージが大きかった(苦笑)
自分のなかの真実と、言葉にずれが大きいとき、焦る。
焦るとますます真実から遠ざかって、
すべてを弁解してるような、言い訳みたいな言葉ばかりが出てくる。
こころのなかにもうひとりのわたしがいて
いやその言い方ちがう、ちがう、とおもっているのに
もうひとりの人間が止まらずどんどん暴走する。
これはほんとうに自分の中心にとっては痛いことで、ひどく落ち込む。
こんなことばかり続けている。
これが直せたら、もっと生きやすくなる気がする。
だって自分はほんとに人や、人と話すのが大好きなのだ。
もっといろんなことを人と話したい、聴きたい、と最近こころから想う。


このからだのなかにことばはあって
はなすことば、だけじゃなくて、
だれにも知られなくても常に言葉は出てきて、生まれて、
まるで「時間」がすすむ、みたいにどんどんどんどん出てくる
細胞分裂みたいにとまらない
新陳代謝?よくわからない
いれかわっているのか
それとも蓄積されているのか
考え=言葉なのか
ことばは考えを誘導するものなのか
ことばは伝える手段なのか
ことばことばことば。


***


いちばん最初に挙げた「魔法の言葉」の詩。
いつもライヴにきてくれる大事な方が今日メールでこの言葉を教えてくれました。
そして自分もこの言葉をずっとまえから知っていて、
最初の三行目ではっとしました。
星野道夫さんが大好きで、この言葉もとても印象的に残っていて
でも忘れていたから、教えてもらってばあっとよみがえってきました
高校3年生のときこのひとの写真や言葉を知って、人生が変わった。
金色の動物が夕日に照らされて移動する写真を見た瞬間を今でも覚えてる。
そしてそれに添えられた言葉は、十代のじぶんに深い感銘を与えてくれた。
頻繁に本をひらいてみなくてもきっとじぶんのからだに深く刻まれている。
星野さんの声なんて聴いたこともないのに、
ずっとこころに住んでいて、声が聴こえてくるようです。


じぶんの音楽は、知らぬ間にそういうところから
意識をもらって詩としているのかもしれないなと想います。
言葉の意味を頭ではわかってなくてもどこか別の部分で本当はわかっていて
無意識のうちに、自分のしんじるものとして、言葉がからだのなかに刻まれて。
そして過去にとりいれた言葉や意識が現在に現れてくる
それはとても不思議で、そして尊いことだと想う


過去と現在


うまれたときからずっと
ひとは今に向かって歩いてきたと言える
そしてこれからむかうところ
それは目の前、ちょっとむこう、もっとむこう、もっともっとむこう、とてもとおく
そちらにむかって、つねにつねに目の前はすすんでいるってことだなあ
今にしがみつこうとおもってもしがみつけず
それは救いです。


でも今おもったことや吸収したことが
未来に影響していて
循環ののちに
いつか現れてきたり
まったくちがうものとして進化したりするんだよ


ことばことばことば
ほんとに不思議です


ことばという魔法。
ちゃんとつかえるようになりたいです。


自分に迷わず叫べ、
この叫びが今のおれのすべてだ、と今ラジカセからきこえてきた
ふふふ
今日の文章は支離滅裂ですね(笑)
でも完璧じゃなくたっていいんですよね?・・・うーん、笑
すこしずつ自分をとりもどしつつあるこんな夜
なにもがんばらない空白の時間がとてもたいせつ。
かんがえることはたくさんあるけれどね、
ことばはほんのきれはしにすぎないのかもしれないね
まほうのことばはたぶん言葉だけのことじゃないんだもの
またあした。
おやすみなさい。