桜の花が咲いて散って


今日は友達の赤ちゃんを見に行った


友達は、6年前、ライヴハウスで私のライヴが終わった後、
突然、見知らぬ他人なのに笑顔で抱きついてきてくれて
私のずっと心の中にある街が、歌の中にあったんだー!と言ってくれた。
あれ、前から知ってたひとだっけ?ってわからなくなるくらい、
その笑顔を好きになって、その日に遊ぶ約束をした。


それから6年の間、定期的に、ずっと会って、
色んなとこに行ったり色んな話しをしたり、
たくさん笑ってたくさん馬鹿な話も真面目な話もした。
彼女が失恋したときは、家に来て泣いてる彼女に、
ご飯をだしたりしたこともあったなぁ。


ある日彼女は恋人ができて、
その人は、私がはじめて彼女と出会った日に、
彼女と一緒にいた男の子だった。
「きみたち親友になるんじゃない」ってその男の子は言って、
私はふたりの絆のようなものが見えて彼氏かと思って、
初めて二人で遊んだ時きいたんだけど
彼女は頑なに無理、って言っててその後ほかの彼氏をつくったりもして、
でもある日、彼氏ができて、やっぱりそれは彼だった。


彼と彼女はあっという間に結婚して、あっという間に子供ができた。
今日、久しぶりに会った彼女は、すっかりお母さんになっていて、
しっかりとして、大変そうだけど、とっても幸せそうだった。
数時間一緒に過ごして、その間中、ずっと赤ちゃんのことを気遣っていた。


ほんとによかったなぁ、
親になるってほんとにすごいなぁ、
もう自分とは全然違う場所にいるんだなぁ、って、
色んなことを思いながらとても幸せな時間を過ごして別れて、
ひとりになったとたん、私はとてもさびしくなった。
彼女はもう子供じゃないんだということが痛いほどわかった。
もうあんなふうにずっと何時間もあてもなく歩いて
くだらないことを高校生みたいに喋り続けることはもう出来ない。
そのことがとてもさびしかった。


そのさびしさはしょうがないもので、だけど、
私はあたりまえだけど、彼女を応援して、彼女の幸せを祝福したい。
今だってこころから、祝福しているよ。


だけどひとつ、
彼女が私のうたを初めてきいてくれた時に言ってくれた
彼女の心の中の街のことだけは、忘れないでね、って、
そんなことを、本気でおもって、少し泣きそうな雨の帰り道に、
桜が本当に綺麗だった。


私が言わなくたって、
彼女が忘れたくなければ忘れないよ、
そして忘れても、思い出したければ、
また思い出す。
そして、もし忘れてしまったとしても、
それでいい。


彼女が幸せそうで本当に良かった
そして産まれてきた新しいいのちが
この世界の祝福を一心に受けますように。


おやすみなさい。